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技術力の高さをデザインで表現するには?
「技術力の高さをアピールしたいが、それをどうデザインで表現したら良いのかわからない。」という悩みをお持ちの人は多いのではないでしょうか?

そう感じている人は、「中身で勝負か? 見た目で勝負か?」と聞かれた時、真っ先に中身を選んできた人が多いように感じます。今まで、中身で勝負という信念を貫いてきたあまり、デザインに対する苦手意識のようなものが大きくなっているのでしょう。しかし、あまり難しく考える必要はありません。まずは自分の立ち位置を把握してみてください。代々受け継がれてきた技術力を売りにする老舗的な存在なのか? それとも新しい技術を用いた先駆者的な存在なのか? 技術力の高さと言っても様々なパターンが考えられると思います。

老舗的な技術力の高さをアピールするのであれば、グリット(格子)を用いたデザインで落ち着いた印象を与える。バランスの良いデザインで見やすさを意識し堅実さを与えるなどが考えられます。また、先駆者的なイメージであればスピード感や現代的なものをモチーフにし、斬新さや新しさを与える方法などが考えられます。どうしても技術力を伝えることだけを考えてしまうと、図を使った説明や商品についての過度な説明をしてしまいがちになりますが、自分の立ち位置をきちんと把握しそのイメージを伝えることができれば、不思議とデザインを活かした技術力のアピールにつながります。

ただし、ひとつ注意して頂きたいことがあります。それは「欲張らない」ということです。老舗的なイメージも与えたいし、先駆者的な斬新なイメージも与えたいと考えるのは危険です。どちらもデザインに取り入れようとするとどうしても矛盾が生じてきます。落ち着いた印象や堅実さの中に斬新さや新しさは溶け込みません。斬新さや新しさの要素を削ぎ落とすことで落ち着いた印象や堅実さというものが際立つことが多いからです。無理に両方を入れようとすると、結果的に何を伝えたいのかわからないものになってしまいます。ですので、伝えたいものをきちんと絞り込むことが大切です。

幾何学とデザインの関係
ヨゼフ・ミューラー・ブロックマン
-The Graphic Artist and His Design Problems- から
「形の要素とその間にある空間のプロポーションは、必ずと言ってよいほど論理的にたどることのできる特定の数列に関連している」


ヤン・チヒョルト
-The Form of the Book- から
「人は偶然のプロポーションよりも意図的で明確なプロポーションを備えた平面を心地よく美しいと感じるということを、我々は証明することができる」

ル・コルビュジェ
-建築をめざして- から
「人はリズムを見つけた。見ただけでそれとわかり、互いの関係において明らかなリズムである。このリズムは人の活動のまさしく根底にある。このリズムは有機的な必然性によって人の体内に鳴り響く。この純粋な必然性のせいで、子どもも年寄りも未開人も知識人も”黄金比”を持つ絵を描くのだ」


必ずしも黄金比や白銀比などが美しいと言えないかもしれませんが、古くから美しいものを作る上で幾何学の存在は重要な位置を占めていました。「幾何学を基にデザイン」と聞くと、なんだか冷たい印象を受けるかもしれませんが、実際に過去の芸術作品から現在のみじかなものにいたるまで、驚く程綿密に計算されているデザインのものが数多くあります。美しいデザインには豊かなイマジネーションに加え、幾何学的な要素も多く含まれていることをあらためて実感させられます。

白銀比と自己相似性
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黄金比に続いて美しいとされている比率に白銀比があります。白銀比は 1:1.414 になっており、この比率を持つ長方形のことを白銀長方形やルート2長方形と呼びます。代表的なものに紙のサイズで使われているA判とB判があります。白銀長方形は二等分すると小さい白銀長方形が2つでき、それをまた二等分するとまた小さい白銀長方形が2つできるというように、永遠に同じ形の長方形に分割できるという特徴があります。こういった分割ができるのは白銀比だけです。とても効率が良く、無駄がないことから世界共通の紙のサイズとして採用されています。

また、黄金比や白銀比のように図形の一部を拡大すると、他の部分や全体と形が一致したり、何回二分割しても相似になるような性質を「自己相似性」と呼び、そのような形を「自己相似形」と呼びます。黄金比が生物の成長パターンに多く見ることができるように、他の自己相似形もまた、生物の成長パターンで見ることができます。すなわち、同じ比率を保つ事ができる自己相似形は理想の成長パターンであり、永遠の成長を示唆させるものとも言われています。自己相似形は自然界で作られた、いわゆる生きている形と言えるでしょう。

前回の黄金比でも同じ様なことを書きましたが、人が本能的にそうした形を美しいと感じるのも、やはり自然界で生まれ、自然と共に生きてきたからなのかもしれませんね。

黄金比はなぜ美しいのか?
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黄金比(1:1.618)は古代より最も美しい比率とされ、建築や絵画、彫刻など様々な分野で活用されてきました。その黄金比を持つ長方形を黄金長方形と呼びます。黄金長方形はその短辺を一辺とした正方形で分割すると、残った長方形はまた黄金長方形になり、この分割は永遠に繰り返すことができます。

黄金比は多くの植物、動物、昆虫などの成長パターンでも見ることができます。代表的なものによくオウム貝があげられます。オウム貝の成長パターンは黄金比の対数螺旋になっており、セオドア・アンドレアス・クックは著書「The Curves of Life」の中で、このような成長パターンを「生命の本質的なプロセス」と説明しています。つまり、オウム貝が相似形のまま殻を追加して成長できるのは対数螺旋によるもので、これは「完全な成長パターン」として認知されています。。(正確には生物の成長パターンは黄金比に近づこうとはしますが、正確な黄金比になることはないようです。)

この黄金比は人の顔や身体にも隠れています。詳細については省きますが、自然界には人間を含め数多くの黄金比が存在しています。黄金比が美しいとされる理由は様々ですが、人間にも黄金比が隠れていることから、人は本能的に黄金比を美しいと感じるのだと考えられています。

そのことについて私は、人間が自然界から生まれた存在ということも関係していると感じています。自然界のあらゆるところに存在する黄金比、それを発見したのは人間ですが、作り出したのは自然界です。そして、私たちも自然界から生まれた存在です。つまり、自然を美しいと感じる私たちにとって、自然界が作り出した黄金比を美しいと感じるのは当然のことで、それを本能的に美しいと感じることこそが、人間の起源が自然界からだということの証拠なのだと思います。

シンプル・スタンダード・バランス
前回の続きです。

センスが良いデザインとはどういうことか? センスが良いものをつくるにはどうしたら良いのか? ということについて、私は「シンプル」「スタンダード」「バランス」、この3つがキーワードになっていると感じています。

当たり前のことですが、「センスが良い」と感じられるためには、「センスが悪い」という印象を与えないことが大前提です。しかし、これがポイントです。例えばアンティーク調の家具やビンテージ家具、好きな人にとっては「センスが良い」と思われるかもしれませんが、興味がない人にとっては「センスが悪い」と感じる人もいるでしょう。過度な装飾や理解が難しいモノというのは、見方によって「センスが悪い」という印象を与える可能性があるのです。

ですので、「センスが良い」ものというのは「センスが悪い」という印象を与えてしまう危険があるものを消すことから始まります。つまり、出来るだけ多くの人が共感できる美しいデザイン。「シンプル」で「スタンダード」、そして「バランス」が重要です。奇抜さやインパクトは必要ありません。あくまでもシンプル、スタンダードなモノで限りなく多くの人に悪印象を与えないもの。その中で、レイアウトや配色、文字の構成などのバランスを良くする。これが「センスの良いデザイン」につながると感じています。また、バランス感覚こそが特に重要で、バランス感覚がセンスの良さを感じさせる核になっていると思っています。


センスの良さについては色々な解釈があると思いますが、私のこの考えもひとつの参考として受け取って頂ければと思います。

センスが良いデザインとは?
以前、センスが良いとはどういうことか?と訪ねられ考えていた時期がありました。

センスが良いという言葉はよく使われていますが、改めて訪ねられるとなかなか説明が難しい言葉です。直訳すると美的感覚・感性が良いという意味ですが、いまいちピンときません。また、デザインの仕事をしていると「センスが良い感じで」という依頼も少なくありません。

「センスが良い」という、曖昧だけどもよく使われる言葉。果たして人はどういうモノに対してセンスが良いと感じるのか? センスが良いモノをつくるにはどうしたら良いのか? 答えはきっとひとつではないと思いますが、私は「シンプル」「スタンダード」「バランス」、この3つがキーワードになっていると感じました。

理由については次回で・・・。

統計にとらわれないデザイン
デザインを考えるにあたり理由は必要です。しかし、過去の分析のみに頼ったデザインではいけません。

今年ボーダー柄の服がたくさん売れたからといって、来年も同じように売れるでしょうか・・・? 猛暑日にアイスがどれだけ売れたか?というような統計とは全く次元が違います。たしかに統計データを元にデザインを導き出すという方法もあると思いますが、全てを統計に頼ったデザインでは「新しさ」というものがどうしても欠けてしまうように感じるからです。

よくデザインは「未来への投資」と言われますが、その言葉の通り、過去の分析だけでは予測できない、様々な効果が期待できるのがデザインの持つひとつの魅力なのだと思います。

五感に訴えるデザイン
私はデザインをする上で意識していることがあります。それは五感に訴えるデザインをすることです。

例えパンフレットやDMなどの平面的なデザインをする場合でも、視覚以外の触覚や聴覚、嗅覚、味覚に向けてのメッセージづくりを意識しています。たった1枚のDMにせよ、見る側の人は視覚以外の五感を使ってイメージを構築させているからです。紙の質感を触覚で感じ、描かれている対象によって今までの記憶を元に聴覚、嗅覚、味覚を使いイメージを膨らませます。例えば、海が描かれていれば波の音や潮の香り、食材であれば味や匂いを無意識にイメージするでしょう。要するに、1枚のDMをデザインするにせよ、見る側は視覚以外の様々な感覚を使ってイメージを構築させているのです。

そして、様々な感覚に刺激を与えるデザインは、見る側のイメージを膨らませ、より「心」に響くデザインにつながると私は思っています。

第一印象の重要性
第一印象は3秒で決まるなどと言われていますが、これは人に対しての事だけではありません。多くの人がぱっと見の印象で様々なモノの価値を決めてしまいます。

人の無意識というのは驚く程に正直です。良いモノを見れば「カッコいい」「オシャレ」「楽しい」など思い、悪いモノを見れば「ダサイ」「汚い」「つまらない」など思ってしまいます。そして、一度付いてしまった印象はなかなか変える事ができません。興味を持ってもらうためには第一印象はとても重要です。多くの人は良い印象のモノにしか興味を示しません。興味を持ってもらうには見る側に良い印象を与える必要があるのです。

情報が溢れている現在では、今後第一印象の重要性は日に日に増していくでしょう。全ての情報を見る余裕がない私たちは視覚的なメッセージに頼らざるを得ないのです。

本当の意味での「良いモノ」
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グーグルやアップルが多くの人に浸透したことにより、現在ではデザインの重要性が広く認知されつつありますが、まだまだデザインの社会的地位はそう高くないのが現実です。経営状況が悪くなると、真っ先に広告宣伝費やデザインの予算を削減する企業が多いのがそれを物語っています。

性能の良いモノを作る、質の良いモノを作る、「良いモノを作れば売れる」という言葉があります。これは一見正しいのかもしれませんが、果たして「良いモノ」というだけで本当に商品は売れるでしょうか?どんなに「良いモノ」を作ったとしても売れなければ意味がありません。モノを売るためにはデザインの力が必要です。性能の良さ、質の良さなど、どういうところが「良い」のか…、それらをデザインによって引き出し視覚化する。現代社会ではそういうデザインの力が必要になってきます。

もし、アップルの iPod や iPhone があのような斬新でスタイリッシュな形をしていなければ、これほどの大ヒット商品にはなっていないでしょう。これも良い性能と魅力的なデザインが合わさったことで、爆発的ヒットを誇る製品が生まれたのです。また、よく営業マンは身だしなみからと言われますが、これも一種のデザインです。どんなに良い商品を扱っていても、第一印象で良い印象を与えられなければ話など聞いてもらえません。そのため、営業マンは良い印象を与えるために自らをデザインします。

このように、モノを売るためには本来デザインの力は必要不可欠なもので、安易に予算を削減できない存在です。性能の良いモノや質の良いモノに良いデザインを加える。そうすることで、本当の意味での「良いモノ」が生まれます。